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本日はまさに快晴で、
空には雲ひとつなかった。
行き道にある、
小さなパン屋さんで
くるみパンを3つ買った。
ここのパン屋さんは、
わたしが知る中では
京都一おいしい。
「カランカラン」
と、ドアを勢いよく鳴らすと、
既に御影さんが
レジで本を読んでいた。
久々に会えた気がして、
一瞬動作が鈍る。
「・・・おはようございます」
と、小さくつぶやき、
店の奥に行こうとした。
そのとき、
ぼそっと何かが聞こえた。
「・・・・・よ」
「え?」
「・・・おはよう」
「!」
え、
わー!
(み、御影さんが、しゃべった!)
まさかの反応に、
わたしの動きは
更にぎくしゃくしてしまった。
今まで一度だって
挨拶もしてくれなかったというのに、
あの無口な御影さんが
しゃべってくれるなんて。
それに、声も、
夢で聞いた声とまったく一緒だった。
こんな不思議なこともあるのか。
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