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地方の編集社で働き始め、仕事一筋で頑張っていた章介のもとに、一枚の絵ハガキが届いた。
名前もメッセージも何もない。ただ大学のキャンパスらしき建物が景色とともに印刷してあるだけのその絵ハガキは、海を渡りアメリカから送られてきた物だった。
「……無事に卒業したんだな」
章介は絵ハガキを見つめながら顔を緩ませた。
澤田にはコネで雑誌にコラムを書いて貰っている為、付き合いは続いている。
この絵ハガキはお節介な父親が息子に個人情報をながしたんだろう
和樹は引っ越し先は知らないはずだから
絵ハガキが届いてから半年、それを眺めては顔を緩ませるのが日課になりつつあった。
「あんなに酷い別れ方をしたのにな
………和樹」
あの頃から大人びていたけど、今はもっといい男に成長してんだろうなと窓に視線を向け遠いアメリカを思う。
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