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「……あの頃のあなたはまだ高校生でしかも売れっ子作家の息子。
しかもその担当編集者との同性愛なんて、世間にとっては恰好のスキャンダルよね。」
「そうですね
だから事が起こる前に…
俺や親父がスキャンダルにまみれて傷つかない前に、あの人は俺を手放した。
それで合ってますか?彩さん」
「合ってるわ
そこまで理解してる上で、あとは何が聞きたい?和樹君」
「……俺、章介さんの心が知りたいんです
強引に関係を結んで流されるように付き合ってくれてたから、俺の事を愛していてくれたのか自信がなくて。
俺だけが一方的に思いをぶつけていたんじゃないかって…」
あんなに傲慢に振る舞いながら実は不安で仕方なかった胸のうちを、和樹は彩に明かしていた。
誰にも話した事のない本音を、恋敵と思っていた彩にこんなにも素直に吐いてしまえたのは、このサバサバとした性格のせいかもしれないと、友と言った章介の言葉を思い出した。
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