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玄関のチャイムが鳴って、まだ痛い頭を抱えて二階から降りる
ガチャリとドアを開けると、同じクラスの戸田がいた。
戸田は俺の隣の席で、大人しく目立たないけど、予習見せてくれたり、当てられそうになると教えてくれたり、頭がよくて、気が利く奴だった
「戸田、なんで?」
眼鏡をかけた戸田が伏し目がちに
「あ、ぐ具合どう?」
俺は風邪のため一週間学校を休んでいた。
「うん、まぁ大分いい感じ。明日から行くかも」
「そう、よかった。あの、これ、…亀梨君が休んでる間、授業のノートとってたんだ。」
よかったら、とオズオズと何冊かのノートを胸の前に差し出す
「へ?マジで?」
前から思うに何でコイツ、ここまでしてくれるわけ?決して脅してるわけでもねぇのに
俺そんな恐い顔でもしてる?
ここまでされると、若干ヒく
「サンキュ。」
一応、笑顔で礼を言うと、まだ何か言いたげな戸田が、家の中を気になるような視線で奥を覗きこむ
「か、か亀梨君っていい家に、す、住んでるんだ、ね。」
カミカミの戸田。
「まぁ、うちは金だけはあるからな。親父は単身赴任で滅多に家に帰ってこないし、母親はいねぇから」
って、何でこいつに家族構成を話してんだろ
「えっ!じゃ亀梨君は、ほとんど家に一人?」
パッと顔を上げた戸田は驚きを含んだ笑みに見えた
「兄貴が一人いるけど」
そ、そうなんだ。とまた顔を下げる
「あ、あのさ、……やっぱりいいや!ごめんね、長々と。皆、会いたがってるよ。……ぼくも。」
「え?」
語尾になるほど細々となる声が聞こえず、顔を近付けて聞き返す
「わっ!近いっ!な、な、な何でもないよっ!!じゃ明日、学校で、ね。」
そそくさと立ち去る戸田
変な奴。
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