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─‡─
「神楽。まだ着かないのか?目的地には」
これでもかと爽やかに微笑む姿は容姿も相まって、他からは好青年にしか見えまい─神倶夜は背後の神楽を急かす。
「へ、へいっ!神倶夜お兄さま!しばし、もうしばしのご辛抱を」
後ろを申し訳なさそうに身を縮めながら歩いてた神楽はすっとんきょんな声をあげながら返事を返した。
…や ば い。黒夜さま+微笑はかなり、お怒りだ。
神倶夜の妹、17年間やってきたけれど…一番のお怒りだ。普段、怒らない神倶夜だけに戦慄が走る。
早く着け!おれの目的地ぃいい!!ちょっ、フィギュア受け取ったら脇目もふらずに帰ろう。そうだ、そうしよう!!いや、でもチラ見ぐらいなら…。
…ホント駄目だわ…わたし。もう少し反省する気は無いのかよオイ?─って、自分の事じゃん!
自分でボケてツッコミって…一人漫才か!
…オタクに加えて痛い子なんて。あぁ…終わったな人生。
「あっ、あそこにございまつる!神倶夜殿ォオオ!!出陣の指揮を!」
黒を基調にした店の外観は先程の店とは違い、落ち着いた外装だった。どことなく漂う気品に自然と背筋が伸びる。
フィギュアがあると言うよりは、アンティークドールなど異国情緒溢るる小物が並びそうで、男性である神倶夜でも入りやすそうである。
「…俺はいつの戦国武将か。そもそも、フィギュアを買い求めるお前とは生きる世界が違うと思う。俺はまだ、此方側の人で居たい」
ひでぇ!可愛い妹を何か避けてるよね!?でも、ツッコミを入れてくれてる!!神倶夜に戻った。
「それでも、付いて来てくれてる神倶夜は優しいよね。こんな世捨て人な妹なのに」
「…馬鹿か?お前は。言葉の意味分かってるのか」
ついと横を向いてしまう神倶夜。ひょっとして…照れてる?えっ、ちょっ何コレ?おれのツボにド級ストライクぅうう!!
「オーイェ~!!モチのロンです!神倶夜がクーデレで少し、ツンデレ属性の入った萌える…─ぶはっ!?」
「お前を燃やすぞ?」
にこりと黒笑を浮かべる神倶夜。
そんな素直じゃないお兄さまも神楽は大好きです。
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