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見た目に似合わぬ、割烹着を身に纏い、さながら食堂のおっさんの如く料理を作る男が一人…。
…失礼なナレーションだな。
どうも~、皆さん初めまして~。俺は有栖 神倶夜って言います。
読み方は アリス カグヤです。…語呂悪いよなー…。
今、俺は高2だけど1年に馬鹿にされんだよ。
『アリス先輩ってメルヘンチックですよねー。かぐや姫に不思議の国ですもんね』
…だってさ。
…うるせーよコノヤロウ。女の子だったら嫁入りで名字変わるけどさぁ~、俺は男だから逃れ得ない定めなんだよ。
…妹は良いよなぁ~…嫁入りさえすれば変わるもんな。
「てか、あいつ結婚なんて出来るのか?」
チキンライスに乗せる為の薄焼き卵を作りながら思う。
…甚だ疑問だ。
…料理は壊滅的だ。この間なんて米を5合炊いてくれって頼んだらジャーの5合の線まで米入れて、ママレモンかけて真剣に米研いでたからね?
炊飯器の蓋が炊いてる途中に開くよな?あの線は水入れる為の線だから。
「ママレモンで殺菌洗浄の洗米だぜぃ☆くたばれ雑菌どもよ!!死にさらせっ!あっ、ハイターも入れとこう。世界が嫉妬する白さへ~」
お前は俺ら家族を死の縁にさらしめたいのかと言いたい。あの時、俺が気付いてなければ救急車で緊急搬送される事態だ。
「…どうやら無理だな」
家事の出来る旦那を貰うか、使用人のいるトコに玉の輿に乗るしか手はない。
「未来は絶望的だな」
…人の事を言える立場じゃないが彼氏いない歴=生きた年数だもんなー……性格に問題が。
天真爛漫と言うか自分に素直なんだよな…あいつの毒舌は心が折れそうになる…。
お淑やかや慎み深いって何なの?食べれるの?美味しいの?ってな感じだもの。
「…はぁ~…」
あ、後はトラブルメーカー。後と言うより、それが主だわ。
ため息を尽きながら、卵を器用に乗せた─その時。
「うぎゃぁああぁああ!!」
─ドダン!バッタン!ドガッ!!バキッ!!メキッ!
「悪霊退散!スーマン!ドーマン!!くたばってくれ頼むから!ザオリク、ザキ、デス!貞子よ、ジョーズよ、ジェーソンよ!!我に変態を葬る力をォオオ!!」
…何事?
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