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─‡─
…愛しいアリス。こっちに来てよ。
「…さっ、寒気が」
辺りが冷え切るような感覚が身を襲う。凍えそう。
「起きろ!起きるんだ!!わたし!目覚めろォオオ!!身の危険だぞ!貞操が、乙女の純潔がァアア!」
体をジタバタと動かしては見るが水中にいるみたいに動かない。
無駄だよアリス。
「うるせぇええっ!!足掻け!底力!!」
聞き分けの悪い子だ。お仕置きをしなきゃね。
「お前はわたしの親か!やべぇ、こんな夢を見てる時点で痛い子だ!!」
君は僕らを望んでる。
「どんだけ自意識過剰なんだよ!わたしより頭が逝ってる人がいた!!」
僕らも君を望んでる。
耳元で声がする。否、この空間、領域が変質者─そのものだと言っても良い。逃げ場がない。逃げられない。
さぁ、僕らの世界へ。アリス。
「いや、何か方法が!!」
夢には違いない。だから精神面で何とかすれば何とかなると思う。
…こんな時…─神倶夜なら。
神倶夜は双子の兄で料理上手で頭良し運動神経も良し容姿も。
……。
完全無欠か!?あの男は!!
「シニカルな神倶夜ならどうするかなー?この状況」
召喚するんだ!夢なら出来るっ!!痛い子で良い。当面は悪夢からの脱出が優先だ!!
で き た。
『疲れてるのか?』
「疲れた…労ってぇ~」
『…何に対して疲れが』
「変態に」
変態って…愛してるのに。
『あ、確かに変態だ』
「神倶夜ぁ~!ヘループ!!」
『あぁ─猥褻罪で訴えますよ』
…は?。
「あれ?変態焦ってる?」
『公然猥褻罪が適用された場合は6ヵ月以下の懲役、または30万円以下の罰金ですよ?─夢の中の貴方に払えるんですか?現金が』
僕らが夢の住人だとして金を要求するなんて。
『さあ、貴方は払えるんですか?払えないんですか?払えもしないのに法廷手続きを踏まれかねない真似は謹んで下さい』
「マジ、カッケーわ神倶夜」
…アリス、僕らは必ず君を迎えに─。
『俺も名字がアリスなんで気色が悪いので止めて下さい』
「寄り付く島もねぇ!」
…君が居なければ。
『…俺がいなきゃ神楽はいない運命ですよ。その逆も然り』
変態は消えた。
『これで良いか?』
「流石、鮮やかなお手並みです!ありがとぉおお!!変態から救ってくれて!も~マジで愛してるぜ☆神倶夜お兄さまァアア!!」
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