chapter.1 Game Start!

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─‡─ 神倶夜はやっぱり凄い。いっつもわたしは助けられてる。 ……。 成績優秀、運動神経は抜群、且つ品行方正。眉目秀麗。シニカル。ストイック。リアリスト。 あれ?後半皮肉になってる? 昔から優等生の鑑だった。両親に褒められる事はあっても、本当に神倶夜が悪い事をして怒られた事なんか無い。 怒られる原因はいつも、わたしを庇っての事だ。 『謝るなよ…別に神楽の為という訳でなくて俺の為の我が儘でやってる事だから気にしなくて良い。偽善者ぶってるだけだし』 代わりに神倶夜が怒られてるのを見て泣いていたわたしに神倶夜はそう言って頭を撫でてあやしてくれていた。 幼いわたしに言葉の意味は分からなかった─…今もだけど。 良いお兄ちゃんだってコトぐらいしか分からない。だって自分から嫌な思いするのに怒られる─泥を被る必要ないもん。 わたしが子供じみている(今でも大人かは怪しいが…)時に随分と大人びて世界を見てた。 数分違うと言えど同じ両親にから生まれてきたのに、双子なのに、何でこんなに違うのかなー?って思う。いつも。 神倶夜と並んでるとわたしは否応無しに比べられる。 いつも神倶夜が一番。 神倶夜が羨ましくって、時に妬ましい。 神倶夜が居なければ…そう思った時もあった。今まで神倶夜がしてくれた事の大きさに比べたならばちっぽけな考え。 わたしの頭じゃ考えるにはちっとばかし難しい。 『…お前は元気だなー』 全てを悟った老人のようにいつもわたしを見て苦笑する。 人生は楽しんだ奴の勝ちだ。その点で言えば、わたしの勝ちだぜぃマイブラザー。毎日が楽しい。 そんな現実主義の神倶夜がいて、こんな浪漫主義なわたしがいる。 もしも今。 神倶夜が居なければ…。 オムライスが食えなくなる。 いやマジで切実な問題だよコレ。あの美味いオムライスが食えなくなるのは、絶対いやだ。 …あれ?何かオムライスの匂いがしてきた気がする。吸い込む匂い全てがオムライス。 どんだけオムライスに飢えてるんだよ!わたしは!! でも、美味しそう。顔が緩む。 …カ……ン……カン。 何の音?ラップ音?や~め~ろ~や~!怖いの嫌いなんだよ~!! ガンガンガンガン!! 「…ろっ!!棺を用意されたいか?」 「ひぃいい!ごめんなさいィイ!お祓いしますんで!!除夜の鐘鳴らさないで頭割れます!!」
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