紫の黄昏

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心なしか彼女は震えているように見えた。 そういえばあの時よりやせたような気がする… 正確にはやつれただろうか? 「それで…そのご相談とは?」 私は彼女達の向かいに座って問い掛ける。 「実はね…彼女、子供ができないの」 「え?」 思いがけない言葉に私は驚きの声を上げた。 「今の旦那さんとは妊娠したから結婚したんだけど…子供も流産しちゃって」 「…」 彼女は辛そうにうつむく 「それから何度か妊娠はしているんだけど、そのたびに流産しちゃって…病院で調べたけど異常は出なかったの、もしかしたら彼女の過去に何かあるんじゃないかって」 「だから私の元へ?」 「妃水ちゃんなら過去も見れるでしょう?もし過去に原因があるのなら改善する方法が見つかるかもしれないし」 姪思いなんだな、そんな気持ちで私はお得意様を眺めていた。 ただ隣りにいる彼女は居心地が悪そうだ。 他人に自分の問題に踏み入れられるのはいい気はしないだろうが
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