紫の黄昏

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元々、紫なんて色は好きではなかった。 自分にも似合わないと思っていたし、なんだか気分が悪くなる色だった。 それがカラーセラピストにすすめられてからは、まるで体の一部かのようになじんでいた。 今ではすっかり自分が一番好きな色になってしまった。 必ずどこかに紫は必ずあった。 服だったり、小物だったり、アクセサリーだったり 占いの時も必ず顔には紫のベールを羽織っている。 顔を隠すためではなく、自分の精神を落ち着かせるためにだ。 そうしなければ相手の運勢も未来も見る事ができない。 時折、自分の客に紫色の何かを身に着けるようにすすめる事もある。 そのせいか、私と言えば紫というイメージが定着してるらしい 似合っているから、誰も文句は言わないが (これも年を取ったせいかしら…) そんな事を考える自分に私は思わず苦笑いしてしまう (もしくは気持ちに整理がついた証拠かしら?) 占い師をやる前は私は専業主婦だった。 家庭は至って平凡で平和だった。
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