紫の黄昏

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一応、慰謝料は出たので生活には困らなかった。 ただ…度重なる不幸に私は精神的に病んでしまった。 両親の薦めでしばらくカウンセリングに通っていたが、そこで出会ったのがカラーセラピストだった。 そしてカラーセラピストのすすめで紫を身に着け始めた。 そこから私の体に変化が起きたのだ。 精神が安定している時は、相手の未来や過去が見えるようになったのだ。 まさか自分にこんな能力が目覚めるなんて信じられなかった。 そしてこの力が確信に至った時、私は占い師を始めたのだ。 神秘の紫に包まれた占い師、HIMIとして… 「あら、もうこんな時間」 私は時計を見て立ち上がった。 今日はいつものお得意様がやって来るのだ。 私が開業した時から、この力を信じて店まで作ってくれた人だ。 私の恩人と言っても過言ではない。 ふとまだ私の事を話している女子高生の会話が耳に入った。
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