241人が本棚に入れています
本棚に追加
私はぼんやりとしながら、歩いていた。
メールのこと、江角のこと、色んなことを考えていた。
気付いたら、もう学校に着いていて、音を立てて扉を開けて教室に入り、朝の挨拶。
いつもと変わらない風景。
ただ少し違うのは、いつも馬鹿みたいにボケてくるアイツがいないだけ。
迷惑そうな顔してさらりとかわしていた私、周りはそれを見て笑う。
そんな空気が本当はとても楽しくて、居心地が良かったのに。
「おはよ!」
翼「おはよ―」
元気に声をかけてくれる友達。
にこやかに笑ってはいるが、私を気遣ってくれてるのが分かる。
翼「私調子悪いから保健室行くね」
「大丈夫?」
翼「おうよ!寝たら治る!」
私はそう友達に言い残し、教室を出た。
いつもは居心地良かった教室も、今はあの空気がとても居心地が悪いものになっていた。
私が向かうは保健室とは別の方向、階段を登り、立ち入り禁止と書かれた札をぶら下げた鎖を跨ぎ、扉を開けて屋上に出た。
翼「お―!風が強いな―!!」
でも、あの教室よりかは大分居心地が良くて、手をうんと伸ばした。
ここなら、誰も来ない。
立ち入り禁止の札があるし、第一ここは私が入学する数年前に、一人の男子生徒が飛び降り自殺をしたと、噂が流れている。
噂は本来、本当の話しが飛躍するものだ。
私は噂をあまり信じない。
私に伝わってくるまでに、どれだけの尾ひれが付いたのだろうと、まずは疑ってしまう。
キーンコーン…
翼「お、チャイムだ!サボろ!少し寝よ…」
勉強勉強ばっかじゃ疲れるしな、息抜きだ!!
私が両手両足を広げて大の字になり、寝ようとすると携帯が鳴った。
バイブ付けてたから、ポケットからかすかに振動していた。
翼「何だよ…また管理人からか?」
最初のコメントを投稿しよう!