メール

3/9
前へ
/122ページ
次へ
私はぼんやりとしながら、歩いていた。 メールのこと、江角のこと、色んなことを考えていた。 気付いたら、もう学校に着いていて、音を立てて扉を開けて教室に入り、朝の挨拶。 いつもと変わらない風景。 ただ少し違うのは、いつも馬鹿みたいにボケてくるアイツがいないだけ。 迷惑そうな顔してさらりとかわしていた私、周りはそれを見て笑う。 そんな空気が本当はとても楽しくて、居心地が良かったのに。 「おはよ!」 翼「おはよ―」 元気に声をかけてくれる友達。 にこやかに笑ってはいるが、私を気遣ってくれてるのが分かる。 翼「私調子悪いから保健室行くね」 「大丈夫?」 翼「おうよ!寝たら治る!」 私はそう友達に言い残し、教室を出た。 いつもは居心地良かった教室も、今はあの空気がとても居心地が悪いものになっていた。 私が向かうは保健室とは別の方向、階段を登り、立ち入り禁止と書かれた札をぶら下げた鎖を跨ぎ、扉を開けて屋上に出た。 翼「お―!風が強いな―!!」 でも、あの教室よりかは大分居心地が良くて、手をうんと伸ばした。 ここなら、誰も来ない。 立ち入り禁止の札があるし、第一ここは私が入学する数年前に、一人の男子生徒が飛び降り自殺をしたと、噂が流れている。 噂は本来、本当の話しが飛躍するものだ。 私は噂をあまり信じない。 私に伝わってくるまでに、どれだけの尾ひれが付いたのだろうと、まずは疑ってしまう。 キーンコーン… 翼「お、チャイムだ!サボろ!少し寝よ…」 勉強勉強ばっかじゃ疲れるしな、息抜きだ!! 私が両手両足を広げて大の字になり、寝ようとすると携帯が鳴った。 バイブ付けてたから、ポケットからかすかに振動していた。 翼「何だよ…また管理人からか?」
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!

241人が本棚に入れています
本棚に追加