友達

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扉を開け、教室に入ると友達が挨拶をしてくれる。 私はそれに答える。 いつもの日常だ。 「付き合ってるの?」 翼「は?」 「だ―か―ら!付き合ってるの?江角啓吾君と!!」 女の子というのは、恋話が好きですのぅ。 私は恋話より、やっぱあれだな。 漫画の話してる方が好きだな。 恋だの何だの、女の子は可愛いねェ。 翼「残念ながら付き合っていないッスねェ。家が近いというだけですよ」 友達は残念そうに、口を尖らせる。 そんなに好きかね?恋話が。 私の母さん言ってましたよ? 翼「母さんって、恋とかどう思う―?」 「う―ん、恋は幻想よ。人間の生殖本能に後から付け足した理由に過ぎないの。 金目当てで結婚したもの」 我ながら夢の無い大人だな。 子供になんちゅうこと教えとるんじゃ!もっと夢のある発言をしろよ!! ま、私はこの通り地味だしね。 浮わついた話しもなきゃ、彼氏もいない寂しい女でございますよ。 男より女にモテるタイプだから! チャイムが鳴り、時計を見るともう放課後。 あれ?早くないッスか? 今日何か授業してましたっけ?考え事してたからなぁ。 啓吾「よ!」 翼「うひゃおぅっ!?」 私はいきなり声をかけられたので、驚き奇声を発してしまった。 啓吾「もっと可愛い反応しろよな」 余計なお世話だ。 啓吾「それよりさ、今日暇?放課後ちょっと付き合ってもらいたいんだけど!」 翼「はあ?」 嫌だ!あんたといると目立つ!嫌な噂がたつ!気持ち悪い! ほら、嫌な三大要素が出来ちゃったよ。 啓吾「タダでとは言わん!今度パン奢るから!」 翼「よし、手を打とう」 啓吾「お前って意外と安い女だな」 だから余計なお世話だ!! 何か放課後付き合うって、これって…いわゆるデートみたいじゃないッスか? こいつと…? うっわ、マジあり得ねェ―。 啓吾「俺の妹、明日誕生日なんだわ。それで誕生日のプレゼントどうしようかと考えててな―。 去年は何か怒らせちゃったみたいでさ、一ヶ月口聞いてくれなかった」 翼「何あげたのさ」 啓吾「蛙のリアルなぬいぐるみ。クオリティがすげぇの何のって!」 そりゃ、怒る訳だわ。
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