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翼「これって…」
包装紙を開けると、そこには江角が妹の為に選んだ桜の小箱があった。
翼「渡すプレゼント間違えてんじゃん!!急いでラッピングし直してもらおう!」
私が急いで立ち上がると、江角は力強く私の手を引いたので、驚いた。
啓吾「間違えてないだろ?」
桜の小箱を開けると、中には私の欲しかった十字架のネックレスがあった。
翼「これ…」
啓吾「欲しかったんだろ?」
翼「欲しかったけど…!これは妹にあげるものじゃ…!」
啓吾「まだ気付かないかな―。口実だよ。妹の誕生日なんて、まだ6ヶ月くらいあるし」
翼「はあ!?」
啓吾「熱心にそのネックレス見てたからさ。いや―、欲しいの分かって良かった―」
へらへらと笑って意味の分からないことを言う江角に、私は混乱させられっぱなしだった。
啓吾「実は高校からじゃないんだよ。中学の時同じ学校だった。転校して来て…ほら、俺髪の色…色素薄いじゃん?
それで、悪い奴に調子乗ってるっていじめられてた。その時、救世主が現れたんだよな。
その女の子は男の俺より強いし、かっこよくてさ、驚いて、礼を言うより先に名前を聞いてた」
江角はにっこりと微笑んで、私を指さした。
啓吾「天宮翼って一言だけ言って、スタスタと行っちゃったんだよな。
勿論、ほっとけなかったから助けたんだろうし、クラスだって一緒になれなかったし、クラスの数も多かったから、俺のことを覚えてないだろうと思った」
案の定覚えてなかったわ。
啓吾「それで、高校のレベルを上げて猛勉強して、一緒の高校に入れたんだ。
それで、偶然通学路で見かけてクラスも同じだって知って嬉しかったんだ。高校ではバカなキャラでいこう。
誰とでも話して仲良くなれる様な人間性を作っていけば、気兼ねなく話ができる。
鬱陶しい奴と思われても、死ねとか思われてても、一緒にいれるんだったら何だって良かったんだ」
江角は言い終わったのか、私を見てにっこり笑った。
啓吾「飲み物買ってくる」
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