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卒業した後も俺は智代と付き合い続けていた。
卒業した後の俺はこの町にとどまり小さな廃品回収業者に勤めて毎日油にまみれながら汗を流している。
親方はぶっきらぼうだがよく面倒をみてくれて入ったばかりの俺にはありがたかった。
そんな親方が…
「せっかくのゴールデンウイークだ、一週間ぐらい休みをやるからしっかり鋭気を養ってこい。」
と言われ、ありがたく休ませてもらった。
そして俺は智代と休みを合わせ隣町の自然公園へと来ていた。
もう、桜のシーズンは終わってしまったがそれ以外にも沢山の花木があり見るものを楽しませてくれる。
智代と一緒にいる日常、それは幸せな毎日だ、一度は手放したがもう二度と放しはしない、そう心に誓ったんだ。そう、卒業間際のあの日に…。
俺はもうすっかり花も散り葉桜になった桜の木の前でそんな事を考えていると
「何をしているんだ朋也?」
「うわっ!」
突然話しかけられ、俺は驚きの声を上げた。
それに傷付いたのか智代はしょんぼりとしてしまった。
「あぁ、智代、ごめん。」
謝った。
しかしいまだに心臓はバクバクと速いペースで鼓動をしていた。
その後、智代の機嫌を治してもらい家路についていると突然声をかけられた。
「あっ…そこのお二人さん。どうです?占い?いえ、お代は結構ですから。」
占い師らしいが、顔はスカーフの様なものでよくはわからない
ふむ…多少胡散臭いがお代はタダか?どうするかな?
俺はそう思い智代に意見を求めようとしたら智代は
「やってもらおうじゃないか朋也。タダならやってもらおうよ。」
すでに乗り気だった。
俺は渋々席に座ると占い師はタロットカードを取り出した。
そしてタロットカードを目の前でシャッフルすると差し出した。
「三枚取って下さい。」
言われるがまま先に智代に取らせて、俺もあとから取った。
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