脳天気なケンタウロス

2/35
78人が本棚に入れています
本棚に追加
/263ページ
「よっ! 黒髪の歌姫サン!」 「……」 片手を挙げて、眩しいほどの笑顔で言う青年を見て、ルナは眉をひそめる。 「……何だ。お前は」 「あっ、そっか。海じゃ、大地の事なんてわからないよな。オレはケンタウロ……」 「貴様がケンタウロスだということは見ればわかる。そんなくだらないことを聞いているのではない」 青年が皆まで言う前に、ルナは口を開いた。 いつもの無表情で、いつもの鋭い口調のルナ。 彼女の性格に慣れていても、その言葉はグサリと突き刺さる。 慣れていないと、大低その倍のダメージを受ける。 ケンタウロスの青年も、その“大低”に入ってしまったらしく、がくりと肩を落とした。 「そ、そこまで言わなくても……」 必死に笑おうとしているが、明らかな苦笑だ。
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!