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「よっ! 黒髪の歌姫サン!」
「……」
片手を挙げて、眩しいほどの笑顔で言う青年を見て、ルナは眉をひそめる。
「……何だ。お前は」
「あっ、そっか。海じゃ、大地の事なんてわからないよな。オレはケンタウロ……」
「貴様がケンタウロスだということは見ればわかる。そんなくだらないことを聞いているのではない」
青年が皆まで言う前に、ルナは口を開いた。
いつもの無表情で、いつもの鋭い口調のルナ。
彼女の性格に慣れていても、その言葉はグサリと突き刺さる。
慣れていないと、大低その倍のダメージを受ける。
ケンタウロスの青年も、その“大低”に入ってしまったらしく、がくりと肩を落とした。
「そ、そこまで言わなくても……」
必死に笑おうとしているが、明らかな苦笑だ。
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