病人と不良

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  僕は不良であるらしい。 らしい、というのはただ単に自覚がないからである。 いったい世間一般にはどこからどこまでを不良と称するのかまったくもって曖昧であり、基準なんてものはなくただただ感性でそうだと思われたらそうなのだと言うしかないものなだけに。僕自身がやんちゃだと主張したところで世間一般にはそうではないのが現状。 僕の意志とか関係なしに、いつの間にか『不良』というレッテルを貼られて僕は周りから腫物のように扱われてしまっているのだ。 おかげで中学に上がり、卒業して高校へと上がる間に僕の周りから友人と呼べるような人は減少。寄ってくるのもチラホラといたけど、その大概が『不良』という肩書きへの冷やかし。 中学生という微妙なお年頃は、迷惑なことに『不良』なんて世間一般に腫物でしかない僕らに憧れてしまう可哀相な夢見がちの生き物なのだ。 おかげで中学を卒業して高校生になった時、ふつーに真面目な進学校に入ったはずなのに、その辺にありふれた一新入生でしかない僕に奇異の視線ばかりが飛ばされまくって居心地の悪さに胃に穴が開きそうになったのは苦い思い出である。 それもこれも、遺伝のせいで髪が無意味に明るい赤色のせいだからだろうと僕は嘆く。 本当に、不本意なことに。 「どーでもいいけど」 あ。ちなみにこれ、担任の口癖。  
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