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私とレイの職業“ハンター”は、内容は大体名前を見てわかると思うが非常に危険な仕事だ。そのため、楯まではないにしても、鎧やプロテクターは生命を守るためになくてはならないものとなる。
『血塗られた閃光』と称され、人間離れした戦闘能力を誇るレイでさえ、簡易な鎧を装備しているのだ。
いくら私が強かったとしても、命に関わることなので鎧は必要となる。
そう――私も嘗ては鎧を纏っていた。見る世界も、そして心も、すべてを覆い隠すような漆黒の鎧を。
私の瞳に光が宿った時、その鎧は砕け散ってしまったが。
思い出すには、まだ痛みを伴う思い出だ。
「私は――」
「どうでもいいだろ。そんなこと」
正確な理由を話したくなかった私を、打って変わって落ち着きを払った声がすくい上げる。
「で、でもよ」
「お前には関係ないことだ。黙れ」
前を向いたまま独り言のように話すレイは、どこか有無を言わせぬ力があった。この私でさえ、はっとさせるほどだ。
レイは時々、こんなふうにらしくもない言動を発するときがある。
過去を探ろうとする人間を毛嫌いするようだ。
まるで、自らの過去を消し去ろうとするかのように――。
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