#0 暗黒の森に潜むは暗黒

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 気付けば、全員が沈黙していた。  ずっと喋っていたセバスチャンも口を閉じ、レイもまた、前を向いたまま黙々と歩いている。  先ほどから森のざわめきが聞こえなくなったのは、その静寂に満足してか――。  無論、そんな訳がない。  どうやらお出ましのようだ。  木々のざわめきの代わりに私の鋭敏な耳が捕らえたのは、空を裂く、あって無しが如き微かな音だ。 「…隠れてろっ」  私はセバスチャンの体を横手の林へと突き飛ばし、ランプに反射して煌めく無数の何かを、手刀で悉く打ち払う。  地面に突き刺さるそれは、湾曲した鋭い爪だ。 「多いな……」 「チッ! くそったれ!」  同じくそれを刀の鞘で打ち落としたレイは、舌打ちしつつ私を睨みつけた。  うむ、この男にはこの猟奇的殺人犯のような目つきがお似合いだ。
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