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「お前、気付いてて言わなかっただろ」
「わかってるんだったら、聞くな」
私は険悪な声を軽く受け流すと、私は突き飛ばされた体勢のまま動かないセバスチャンに目を向けた。
彼の黒い瞳には、困惑と緊張の色が浮かんでいる。
私は安心させるように、不適に頬を歪めた。
「出番だ。『ブルーシャドウ・オブ・サイクロプス』の力を、見せてやろう」
「…そう、させてもらうぜ」
私は頷くと、ランプを地面に置いた。
ほとんど暗闇の前方に、不気味な赤色の光が浮かび上がる。
食欲と殺戮への快楽を求めるそれは、見る間に20対を越えた。
「スルト」
「うむ」
私は目配せしてくるレイに頷き、全身の筋肉を撓ませながら一歩前進した。
レイはセバスチャンの隠れている林の前に守るように立ち、刀を腰の所で抱え込むような体勢で赤い光を睨みつける。
「…歓迎感謝しようか」
少しずつ接近するそれは、ランプに照らされて暗く正体を現した。
全身を闇色の鱗が覆い、小柄だが鋭い爪の生えた4本足を持った異形。前方に突き出た顎にずらりと並ぶ歯は、肉の味を求め唾液を滴らせていた。
我々“デビル・ハンター“の商売相手、『悪魔』の登場だ。
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