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今、対峙しているのはバンキートという低級な悪魔だ。
討伐した証拠となって現金と交換できる首や耳を持ち帰っても、あまり金にならない雑魚だが、大勢となると普通に厄介な相手だといえる。
「チッ…金にならねぇ」
「そうだな」
忌々しげに舌打ちするレイに私は賛同の声を上げる。
だが文句を言いつつも、レイは嬉しそうな笑みを湛えていた。
「ま、気分転換ってやつか」
その声が、戦いの開幕を告げる。
バンキートたちは体に似合った俊敏な動きで、黒い波のように襲いかかってきた。
彼らの武器は、先ほどのように打ち出すことも可能な鋭利な爪と、骨をも砕く強靱な顎だ。低級とはいえ、捕まったら結構な痛手を負う。
捕まれば、の話しだが。
バンキートたちは最初の獲物を距離が近く、比較的体の細い私に定めたのか、爪を振り上げて躍りかかってくる。
「ふん…」
これだから低級の悪魔は困る。
人を見かけだけで判断してはいけないと、小さい頃教わらなかったようだ。
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