149人が本棚に入れています
本棚に追加
既に私たちは、セバスチャンの隠れる林から半円を描くように囲まれている。地上にいる悪魔はおよそ20体。地面の下には何体かのストラ。戦力になるのは私とレイの二人で、セバスチャンはどうやら腰が抜けているようだった。
見てわかる通り、何の問題もない。
「こいつら、俺たちが力尽きるまで相手する気だぜ?」
「それは嬉しいな。心躍る気分だ」
好みでないやり方だが、ここは突っ込むのが得策だろう。
バンキートだけならばともかく、ストラは距離を取っていればこちらが不利だ。
なぜなら、彼らは中級悪魔からの特権、“魔術”を使ってくるからだ。
魔術とは、この世の理をねじまげ、あらゆる自然現象を起こさせて攻撃する悪魔の技である。直撃すれば死は免れない。魔術を使う相手と戦う際は、使われる前に殺すのが鉄則なのだ。
まぁどうにしても、これくらいの敵ならば少なくとも死ぬことはない。問題はセバスチャンだ。
私は顔半分だけ林の方に振り返った。
最初のコメントを投稿しよう!