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一人はえらく長身で、筋肉の塊のような男だ。
一見怖面だが、無精髭を生やした顔には深い笑い皺が刻まれ、砂色の瞳の奥には言葉に出さずとも人の良さが伺える。
短く白髪交じりの頭には葉色のバンダナをしていて、何かの動物の毛皮で出来た上着、同じ素材で出来た短パンと、ほぼ裸同然。
背中に剥き出しのまま背負った大剣、クレイモアがなければ、現在の背景と相まってどこぞの少数部族のような男だ。
この大男の名はトレネフ・セバスチャン。アースガルドの『森の案内人』だ。
そしてセバスチャンの隣には、彼より少し身長の低い――と言ってもセバスチャンが大きすぎるだけで十分長身だが――精悍な顔立ちをした男がまた一人。
真紅の簡易鎧を纏い、無駄なく鍛えられた腕には、緩く弧を描いた細身の曲刀、刀が握られている。
老木のように深い黄褐色の瞳は強い意志に満ち、無造作に伸ばした瞳と同色の髪が歩くごとに揺れる。
この頭の悪そうな男の名は、レイ・ヴァンスハル。また別名…。
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