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「誇り高き“ハンター”である私が、誰のせいでこんな案内のかわりに護衛など、何でも屋のような仕事をしていると思っている?」
「さぁな。人助けもたまにはいいだろ。思いやりってやつを知った方がいいぞ」
レイはそれだけ言うと会話を打ち切るように正面に向き直った。
知るのはお前だ。馬鹿が。
私は胸の内でうねる熱い何かを、真紅のマントを殺気を込めて睨みつけることで押さえつける。
人のふり見て我がふり直せ、と言う言葉を知らないのだろうか。
いや、知らないだろうとも。
「ずっと思ってたんだがよ」
「なんだ」
故に、唐突に切り出したセバスチャンに応える私の言葉は、思ったより冷たくなってしまった。
セバスチャンは私の口調に少し仰け反りながら、言う。
「お前さんの恰好はまるで普段着だが、鎧かプロテクターは着なくていいのか? まさか有名なお前さんが金がねぇって訳じゃねぇだろ?」
「…おまえに言われたくはないがな」
私は半眼で反論しながら、どうしたものかと考える。
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