第1章ー日常と魔法と

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「それにしてもみゆちゃんはねぼすけさんね。夜更かしでもしてたのかしら」  美麗は小柄で童顔、みゆと並んでも姉妹にしか見えない。今でも大学生で通じるくらいの見た目だ。  いつも見ているから何も思わないけど、他の親を見るとやっぱり違うんだと感じる。 「それなりの時間までね。ほら、魔力増大期だから」  成長期のように魔力の容量が急激に上昇し、制御が著しく不安定になる期間のことだ。それを迎えているみゆは満足に魔法を発現させることができなくなっていて、魔力暴走の危険まであった。  だから魔法の使用を制限させているのだが……。 「ユウくん、みゆちゃんに教えてあげれば? 属性が違っても制御の仕方くらいなら変わらないんでしょ?」 「そうなんだけど、今はまだ自分でやろうとしてるみたいだから。どうしようもないときは頼ってくるだろうしね」  本当は頼ってきたらいつでも手伝うつもりなのだが、どこか遠慮してるような空気があった。  幼なじみとして少し寂しい気持ちもあるのだが、何か考えがあってのことと思っている。 「そう。私は魔法のことは分からないからユウくんに任せるわ」  美麗は「でも……」と時計を確認する。 「そろそろ遅刻するんじゃないかしら。バスを使う?」  学校までは徒歩で約30分程度だから、今からだと少し走らないと間に合わない。  しかしバスを使えば10分程度なので、最終的なデッドゾーンは15分発のバスになる。  だが、あくまでこれは最終手段。ルルとエルは乗り物酔いしやすいので嫌がるのだ。
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