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そのおじさんに家の近くまで乗せて帰ってもらったが家には帰る気にはなれなかった。家じゃ無理して笑ってたがとてもそんな演じられるほどの精神状態じゃなかった。
雨が降る町をただあてもなく歩いた。小さな公園のベンチで座り込んで泣きまくった。涙なんか雨に消されてしまったから。
灰色の空から落ちる涙はこの胸を抉るかのように容赦なく突き刺す。痛みが強すぎて痛いことすらわからなかった。
絶望…なんでおれは此処にいるんだろ。
そこから歩いて事故の現場に訪れた。雨に濡れた桜の木に寄りかかるように。花がおいてあった。誰かが置いたのかな。
「なんで、あの時…」
ありがとう…彼女が残した最後の言葉。なにもできないで蒼天の空の下、泣き叫ぶことしかできなかった自分が歯痒くて仕方なかった。
「おれが殺したんだ…」
自己嫌悪と後悔。春の冷たい雨とやっと咲き始めた桜がぼくに語りかけたような気がした。
ーオマエガコロシター
おれはどうしたらいい?
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