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目が覚めると病院の堅いベッドの上だった。
そばには母とAがいた。Aは隣県に就職するのを蹴ってまでおれの側にいてくれたのだ。
「おれ生きて…る。」
あの光景はなんだったんやろう?またおれはあいつに助けられたのか。おれは死ぬことすら許されないのか。母とAにめちゃくちゃ泣かれた、そんですんごく怒られた。
残された者の悲しみはおれが一番解ってたはずなのに。でもかといってそんな簡単に受け入れられほど生易しい傷なんかじゃない。死んで償うこと、それは逃げることなんだな。生きて洋子の事から目を背けない事、それがぼくの償ない。あの日からぼくの足首には鎖がついた。それはがんじがらめなんかではない、洋子が生きた証、証明、それをぼくが忘れない為に逃げない為に鎖をつけた。
その鎖の名は絆。
母にA、あの時は本当にごめん。迷惑かけっぱなしでごめんなさい。
またこの場を借りて改めて謝ります。
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