自殺の理由

9/9
前へ
/470ページ
次へ
それから数日でぼくは退院した。入院してる間に精神科に一度行っていろいろみてもらって、いろいろ診断された。一種の記憶喪失とトラウマ、解離性人格障害。でもあえてそれを治すというかいい意味で付き合っていくことを決めた。記憶を消すこともできたらしいが辛くてもやっぱり忘れちゃいけないと思うし忘れたくないから。ほどなくしてAも隣の広島にいってしまった。ぼくのせいで就職だめになってしまったらしいが、責めることはなく笑顔で旅立っていた。本当にありがとうと何回言っても足りない。 それからまたあの場所へ来た。 「洋子…また助けられちゃったな。」 桜の花びらがひらひら舞うとても優雅な光景だった。 「またくじけて泣きそうにいや、泣いてしまうかもしれんけど、もう一人で歩けるよ。ここから先は…」 いやぼくの体には洋子の優しさがある。今のぼくが人に優しくできるのはきっとぼくの意識の中に洋子が溶け込んでるから。精神と心で結ばれてるから。 「次に会うときは笑顔で会えるように、おれなりに頑張ってみるからな。」 桜の花びらが舞う河原で新たな未来を歩きだす。
/470ページ

最初のコメントを投稿しよう!

493人が本棚に入れています
本棚に追加