初恋

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  思ったとおり諦めたのか、さっさと行ってしまった。   少しの申し訳ない気持ちと、余計な気を使わなくてすんだ安堵から、自然とため息がでていた。   「なんか悩みごと?」 「ええっ!」   急に背後から声をかけられ、自分でもびっくりするくらい声がでた。   「帰ってなかったのっ?」 「声でかいな」   そう言うと傘をたたみ、空いているスペースに座ってしまった。   巻き貝みたいな形の滑り台の中は、トンネルにもなっている。帰ったのではなく、外を見ていた穴の反対側に回り込んでいたみたいだ。
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