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  とりあえず視線を営業スマイルで誤魔化し、傘立ての位置を直す。   そのときドアが開き雑巾が目の前に――。   「由美さんからの指令。『ウィンドウとドアのガラスをピカピカにするように!』だってよ」   そう言って雑巾を差し出したのは、もう一人のバイト仲間の守(マモル)ことマモちゃんだった。   「この雨だと忙しくなる昼までは暇だから、今のうちに拭いとけって……」   男前だけど無愛想なマモちゃんから、雑巾を受け取り尋ねる。   「……由美さんは?」 「一号店から電話」  
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