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305の水谷さん、今日もトイレ まで持たずに 入り口でおもらし・・・・泣 きそうな顔で誤られると 「いいの」と励ます言葉が何 度も喉から発してしまう。 下半身が不自由なのだから仕 方ないのに トイレ入り口廊下を拭き終え て、茜は汚物処理場の手洗い場で手洗いを済ませると病室点検の作業につく。 「おっ吉永さん、先日のお 茶、美味しかったよ」 「こんにちは、坂本先生、あ れは○園の緑茶です、お口に あっていただいたんですね、 コーヒーは新発売の○のクリ ーミーエスプレッソなんかい いですよ」 「ほう」 上下の白い歯を見せてほ残し て行く勇介をしばし見つめて ~2年半ではじめて、坂本医師 のあんな笑顔を見たわ~ 36歳子持ちの茜の胸中に少女 のようなときめきが襲う ナースステーションで患者デ ータに目をとうしながら 高見沢看護師と話す勇介はい つも見せる厳しいクールな 表情に戻っていた。 茜は勇介の笑顔を独り占めし たような 優越感の錯覚? を抱いたようだ。 茜は3年前、事故で夫を亡く し、当時7歳の長女と二人にな っていた。 知り合いのつてで2年半前、こ この病院、看護助手としての 仕事に付くことが出来た。 オーデションは最終選考に残る 6人を発表段階を迎えている。 「やったぁ!!須藤君、一緒に残ったよ!」 えっ・・・・・松田さんは演技力最高だから当然だけど・・・ 「どうしたの?名前呼ばれたのにカの泣くような声で」 「だって  落ちると思った」 可南子は苦笑して、鋼の背中 を叩く。 ズキッと肩の痛みが再び蘇っ たが傍の少女たちも 「抜群のプロポーションと美系、そりゃあ合格っしょ」 「あ・り・が・と・う」 照れだけではなく女性価、反 応に心が震えるのが鋼にとっ て初めての感触だった 「でも選ばれるのはひとりなんだから、ライバルなんよ!」 可南子はまだ俯いている鋼の 目の前に拳を見せて誘導、挑発しているが、鋼はまだ小刻みな震えを止められない。
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