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二人は背筋から流れて消え
ていく汗を同時に感じながら
頷きあう、高揚する審査発表
が被告席のようだ
体が不自然に震える違和感か
ら逃れたくて
鋼はその場から去ろうとした
時、可南子に腕を掴まれた
審査発表が始まる、「逃げち
ゃダメ」という視線の可南子
に切なくて掴まれた腕は更に
激しく小刻みに震える鋼
「当初は秀吉の家臣の美少年
ひとりが対象でしたが、審査
員のたっての希望で、新しく
新人をもうひとり特別賞とし
て残させていただきました、
松田可南子さん
そして・・・オーデション合
格者は、須藤鋼さん」
呼ばれたとたん眩暈でその場
に倒れ掛かる鋼を可南子はし
っかりと抱える
・・・男の子でしょ、がんば・・・
鋼は首を横に振る
えっ・・・・・・・・
「おふたり!舞台へ!どうぞ!?」
「はい」
可南子に腕を引かれ、とても合格者には見えない
泣きそうな臆病な歩き方の鋼
に観客、審査員は期待はずれ
の反応が隠せないが
刹那、会場後部から大きな強
い拍手が沸いて 便乗してし
だいに上手へとうちあげ花火のように
会場中に響いていく歓声のような拍手が呼応していった
「あれ・・・この子]
休憩中紅茶のかぐわしい香り
に少し酔いながらTVの情報
番組を何気に見ていた勇介は
先日、えらく慌てて診察の待
合室から走って消えた少年が
昴劇団の新人オーデションに
合格して花束を受け取っている
弱弱しい笑顔を凝視して、体
がひとつ前のめりになっていった
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