1章 人並み以上

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「なんでお母さんはおれへんの?なんで一緒に住んでへんの?」 「あんたは気にせんでいいんや。ばあちゃんが母親がわりやねんから」 祖母はいつもそう言って教えてくれなかった。 祖母はなにかにつけて 「私を母親やと思え」 だった。 祖母は医者の娘で、家は裕福だった。 高等女学院も出ていて学歴もあった。 祖父は開業医だが、実家は獣医で特に裕福というわけではなかった。 母を早くに亡くし、親代わりに育ててくれたのは長男だったらしい。 祖父は帝国大学を無事卒業し、医者となり…関西でも有数の大きな病院の外科部長を経て開業したらしい。 祖母は、そんな祖父は自慢だったが離婚して帰ってきた娘のことは恥だと思っていた。 祖母は異常に世間体を気にする人で 実家に入ろうとした娘を拒否し、 夫婦関係が良くなかったために孫の私だけ引き取ったそうだ。
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