奇跡の優駿

一頭との巡り会い

そんな健次とバーニングハートの横を通る滝裕と、一番人気のエルマックス。

『頑張れよ！』

そんな健次を尻目に、苦笑いしそう声をかけて、滝は地下馬道を後にする。

闘志抑え切れないバーニングハートにあたふたしながら、列の最後尾に着け馬場へと向かった。

馬場に出て、戦場に放たれる様に担当厩務員がハミに繋いで有る綱を離し健次の手綱に任せバーニングハートをターフに放した。

解き放たれた獣の如く、他馬に競いかけながら馬場を走りウォーミングアップを行うも他の馬と違い既に本番さながらの気合いで、走るバーニングハートを、なだめ落ち着かせる健次。

他馬と走った事で少し落ち着きを見せたバーニングハートを待機場へと誘導し、バーニングハートをなだめ落ち着かせながら、発走の時を待つ健次。

時折、エルマックスに視線を向けては気合いを入れる様に首を上下に振るバーニングハート。

まるで今日の自分の一番の相手を理解している様であった。