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「このカゴの中のワインとケーキをおばあさんの所まで届けてね。絶対に寄り道しちゃダメだよ?暁ちゃ、じゃなくて赤ずきんちゃん。分かった?」
唐突に始まりましたが、これはずっとずっと昔の日本ではないどこか遠くの世界のお話。
まるで『先生のくせにっ!』に登場するつぐみちゃんにそっくりな婦人は、葡萄酒や焼きたてのアップルパイを詰めた赤いリボンが結ばれている竹編みのカゴを、赤いずきんを被ったポニーテールの少女に手渡しました。
「はーい。おばあちゃん家に真っすぐ行けばいいんでしょ?任してよ、つぐみちゃん」
「つぐみじゃなくてママだって!そういう設定だよって裏で確認したじゃない」
ママは自由奔放な赤ずきんに慌てて注意すると、心配そうに彼女を見つめます。
「本当に大丈夫?着いていきたいところなんだけど、私はここで待ってなきゃいけない役だから…」
「大丈夫、大丈夫。じゃあ行ってきまーす!」
赤ずきんは勢いよくドアを開くと、不安の色を隠せないママに大きく手を振りながらどんどん森の奥へと入って行きました。
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