...あの頃の記憶...

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 正紀は隣の家に住んでいる。俺の、年の離れた幼なじみだ。  幼なじみといっても、共働きでほとんど家にいない正紀の親にかわり、俺の両親が幼い正紀を育てていたため、本当の弟の様に思っていた。  しかし成長するに連れ自活ができるようになった正紀は、我が家の世話になることがなくなり自然と疎遠になった。  滅多に会わなかったし、たまに会っても挨拶を交わすくらいで。何を話したらいいかわからず、お互いそれとなく避けていたように思える。  それに、俺より遥かに大きく成長してしまった正紀は、俺の知ってる正紀じゃない。あの小さかった正紀だ、と思う事ができなかった。
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