第一章「幼い記憶」

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「大丈夫だよ。紅羅」 俺の考えている事に気付いた蝶華が微笑む 「歌鏡は絶対に鳥香ちゃんに危害を加えたりはしないよ。人間に危害を加える妖怪にしか歌鏡は退治屋としての力を発揮しないからね」 「うん…」 「それにしても…」 顔を上げた蝶華がぽつりと呟く 「鳥香ちゃんて…誰かに似ているのよね。思い出せないけど」 「知ってる人?」 「うーん…なのかなぁ?」 蝶華が首をかしげる 歌鏡から聞いた事があった。 蝶華にはかつての退治屋としての記憶がないのだと 何故そうなったのか、詳しくは教えてくれなかった。 俺も無理には聞こうとしない その話をする時の歌鏡は…複雑そうな顔をしているから そのうち話してくれればいい 俺は蝶華の話を聞きながらそんな事を考えていた。
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