第一章「幼い記憶」

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一方、事務所を後にした二人は 「「…」」 先ほどから二人共言葉を発しようとはしない 鳥香が警戒しているのもある 何を言っても逆効果だとわかっている歌鏡も何かを言おうとはしなかった。 「「…」」 お互い沈黙したまま、歌鏡は道を歩いて行く 「…夜都さんは元気?」 沈黙を破ったのは歌鏡だった。 背中から微かに鳥香の戸惑った気配を感じた。 「鳥香ちゃん…だっけ?君はお父さんにそっくりだね」 「なんで…」 「君のお父さんを知っているのかって?」 鳥香が小さく頷く 「昔会った事があるからだよ。と言っても深い交流があった訳じゃないけど」 「…」 「夜都さんは人間界の事をなんて言ってた?」 「人間界には…きちゃいけないと言われてた」 鳥香がうつむく 「人間界は恐ろしいから…行けばひどい目に合うからって…」 「そう言われてたのに、何故人間界に出ようとしたの?」 「友達が…欲しかったの」 「友達?」 「私の周りには友達はいなかった…だから人間でもいいから友達が欲しかったの」 鳥香の声は今にも泣きそうだった。
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