第一章「幼い記憶」

3/21
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/69ページ
きっとこんな話をすれば、彼女も俺を怖がるだろう そう思っていたが、次の瞬間彼女は意外な反応を見せた。 「貴方は化け物なんかじゃないわ。貴方からするのは人間の気配だけだもの」 「え?」 突然告げられた言葉に俺は驚きを隠せなかった。 「本当の化け物は…私みたいな人の事を言うのよ?」 彼女が悲しそうに微笑む 「あ…」 少女から感じた気配で気付いた 彼女が何者なのかを… 「私が怖い?」 俺は無言で首を振る 「優しいのね…怖いって言ってもいいのよ?」 「むしろ少し驚いた。話したのが初めてだったから…」 「私も人間と話したのは初めて」 「そうなんだ?」 「人間は恐ろしい存在だと聞かされていた。確かに怖い人もいたわ…」 彼女が目を伏せる 俺は彼女の視線の先のものに気付いた。 「っ…大丈夫!?」 怪我をしていたのだ。 かなり出血している 「私の正体を知ったら石を投げられたの」 「そんな事より早く手当てしないと!」 俺は彼女の腕を掴んだ。 その体は氷のように冷たい
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!