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きっとこんな話をすれば、彼女も俺を怖がるだろう
そう思っていたが、次の瞬間彼女は意外な反応を見せた。
「貴方は化け物なんかじゃないわ。貴方からするのは人間の気配だけだもの」
「え?」
突然告げられた言葉に俺は驚きを隠せなかった。
「本当の化け物は…私みたいな人の事を言うのよ?」
彼女が悲しそうに微笑む
「あ…」
少女から感じた気配で気付いた
彼女が何者なのかを…
「私が怖い?」
俺は無言で首を振る
「優しいのね…怖いって言ってもいいのよ?」
「むしろ少し驚いた。話したのが初めてだったから…」
「私も人間と話したのは初めて」
「そうなんだ?」
「人間は恐ろしい存在だと聞かされていた。確かに怖い人もいたわ…」
彼女が目を伏せる
俺は彼女の視線の先のものに気付いた。
「っ…大丈夫!?」
怪我をしていたのだ。
かなり出血している
「私の正体を知ったら石を投げられたの」
「そんな事より早く手当てしないと!」
俺は彼女の腕を掴んだ。
その体は氷のように冷たい
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