第一章「幼い記憶」

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それから数分後 「これが…貴方の家…?」 彼女が不思議そうに呟くのも無理はないだろう 俺達の目の前にあるのは一件のビル 「ここの中にあるんだ。父さんが事務所をやってる」 「事務所…」 「とにかく怪我の手当てをしないとね」 俺は事務所のある部屋へと向かう 「おかえりー紅羅」 中から現れたのは一人の美しい女性 真っ白な肌に長い漆黒の髪 俺を産んでもその若さと美しさは変わらない 「ただいま、母さん」 月花 蝶華、それが母の名前だ。 「紅羅…?」 「あ、名前言ってなかったね?俺は紅羅って言うんだ。君は?」 「神威 鳥香…」 「鳥香か、可愛い名前だね」 「あ、ありがとう…」 「それより母さん、彼女の手当てをして欲しいんだ」 「え?あら、大丈夫?」 すぐに気付いた蝶華が鳥香をソファーに座らせる 「救急箱を取って来るから少し待っててね」 蝶華が慌てたように部屋を出て行く 「…」 鳥香は先ほどから不安そうに辺りを見ていた。
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