第一章「幼い記憶」

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その意味に気付いた俺は苦笑いした。 「大丈夫だよ。鳥香を退治したりはしないから」 「う、うん…」 「おまたせ」 救急箱を持った蝶華が鳥香の向かいに座る 「少ししみるけど我慢してね?」 蝶華がそっと鳥香の腕を取る 一瞬だけ、その肌の冷たさに驚いたようだ。 当然なのかもしれないが 「貴方…」 蝶華がぽつりと呟く 「…」 心なしか鳥香の顔は不安そうだ。 「女の子が体を冷やしちゃダメよ?後で何か暖かい飲み物を入れるわね」 「…」 意外な言葉にきょとんとする鳥香 俺は思わず吹き出した。 蝶華らしい言葉だ。 「何笑ってるのよ?紅羅」 「母さんらしい言葉だなっと」 「そうかしら?よし、手当て終わり」 蝶華が鳥香の頭を撫ぜる 「よく我慢できたわね。えらいわよ」 「あ、ありがとうございます…」 「いえいえ、さてお茶でも入れて来るわ」 「母さん、救急箱片付けて来るよ。」 「そう?ならお願いね」 俺は救急箱を受け取り部屋を後にする。 部屋に残ったのは鳥香と蝶華だけ…
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