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僕は、僕だ。名前はない。
と言うか、ここでは与えられた名前がないし、歳もとらない。
どういうことかと言うと、ここは現世で言うところの天界にあたる。
気づいたらここにいたし、確か53歳で死んだはずなのに、18歳の頃の姿形をしていた。
後から知ったけど、死んだ後の魂は、その人が1番楽しかった頃の形をしているらしい。
ここでは、どれだけ動いても疲れないし、好きなところに住めるし、好きなものも食べることが出来る。幸い、おいしいという概念はあるみたいだ。
また、物にも魂があるらしく、ここに来た時にはすでに乗りつぶしたはずのバイクが新車の様相をして横にあった。
とりあえず名前を考えるのは面倒くさいので、生前の名前『サトシ』を名乗り続けている。
会おうと思えば、知り合いにも会えるはずだろうけど、何せ53で死んじゃったし、同じ年代もいるはいるんだろうけど、まだ会ったことはない。
両親はまだ生きてるし、祖父母は歳をとった姿でいるとはかぎらないし、向こうは僕が小さい頃に亡くなったから、僕が18歳になった姿を知らない。
そんなこんなで、未だに知り合いには会えていない。
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