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かなたさんはトロンとした目で俺を見つめた。
「流星さん……私は貴方が大好きです……私を助けてくれたあの時から、私の心は貴方だけになっています……もし、貴方が他に好きな人がいるなら、私は諦めて自分の運命に従うつもりです……もし、貴方さえ良ければ私は貴方のお側にずっといたいんです」
こ、これって告白ってヤツか?
人生初のコクられた場所は家の中、しかもギャラリー付きて、なんやねん……
「こんな馬鹿息子をここまで思ってくれるなんて……俺は……」
親父は何でか泣き出す。
回りのオッサン連中は口笛を吹いて囃し立てる。
「やかましい!」
真理恵の怒鳴り声が店中に響きわたった。
その迫力に、さっきまで騒がしかった店内は一瞬で静まりかえる。
真理恵は出入口の方を向くと食事代をテーブルに置いた。
「アホらしゅうて、やってられんわ!貴史いくで!ご馳走さま!」
真理恵はズコズコと出入口に向かうと乱暴に扉を開けて外に出た。
「ほ、ほな、兄貴また明日!親父さんも!」
貴史も店を出た。
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