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「…手がいいからそんな提案をしたんでしょう?それは不公平ってものよ」
「確かに手はいいね」
そう言って青年は手札の一枚を表にして場に置いた
「このジョーカー、あげるよ。しかもオレは不足分の一枚を引くだけ。それでどうだい?」
これに怒ったのは男だった
「おい!考えなおせ!頼むから普通にやってくれ!」
青年は椅子にもたれかかった
「普通って何?オレはゲームしてくれと頼まれたんだ。勝負で勝ってくれとは言われてない。それに…ゲームしてるのは貴方じゃなくてオレだ」
男はテーブルにと近寄ろうと一歩前に出た
その瞬間、女の後ろにいたスーツの男が立ち上がる
男はそれを見ておとなしく引き下がった
「で、受けるの?受けないの?」
女はしばらく考えた
そして手元のチップを全て場に出した
「そうこなくちゃね」
青年は一枚、ディーラーから一枚カードを受け取り、手札のそれと重ね合わせて、テーブルの上に置いた
「さ、お姉さんはどうするのかな?」
女は手札から三枚のカードを捨てた
そしてディーラーにカードを二枚要求し、それを受け取る
さらに場にあるジョーカーに手を伸ばした
「本当にいいのかしら?」
青年は黙って頷く
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