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女がジョーカーを手に加えた所で青年は口を開いた
「どうせなんだから、盛り上げる演出しようよ」
「どういうこと?」
「そっちにいるスーツの方も、後ろのオッサンにもこのゲーム見てもらおうよ。あとは…お姉さんの手、一枚一枚見せてよ。順番は任せるからさ」
「……いいわよ」
女は後ろを向き、こちらに来いと合図をした
青年の後ろにいた男もテーブルに近寄る
女は手札から一枚、場に出した
「ジョーカー」
これは誰にも分かり切っていることだった
「ハートのキング」
皆が女の出すカードに注目する
「クラブのキング」
この時点でキングのスリーカードが確定している
「スペードのクイーン、そしてハートのクイーンよ」
女の役はフルハウスだった
そして注目は青年へと移る
「オレか…」
青年は一枚一枚、丁寧にカードを出していく
「スペードのエース、スペードの2、スペードの3、スペードの4」
ここで青年は手を止めた
「さて残り一枚は何でしょう?ちなみにこの一枚、最後に引いたカードなんだけど?」
それはつまり、ジョーカーを捨ててなければストレートフラッシュだったということだった
「引き際が分かる人間なんてそうそういないから仕方ないね」
青年は最後の一枚をテーブルに叩きつける
「完全勝利ってやつだね」
青年のカードはスペードの5
勝負は青年の勝ちに終わった
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