道化

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「…で、貴方が彼の代打ちなのね?」 女はまだ驚きを隠せないでいた 「待たせてしまってすいませんね。でもほら、ヒーローは遅れてやってくるのが定石ですから」 青年は一人で笑っていた 「本当にこの人に任せていいのかしら?」 「構いません」 男はハッキリと言った 女は知っていた 男が代打ちを用意していると言ったのが嘘だと言うことを しかし、どんな人間を連れてくるのかが楽しみで、敢えて男を部屋から出した そして連れてきたのがこの青年だった 「じゃあ再開しましょうか?…ルールの説明は?」 「大丈夫大丈夫。さっきオッサンに聞いたからさ」 青年は後ろにいる男を親指で指す 青年は雰囲気に潰されないように明るく振る舞う ビルの一室にある部屋 真ん中には木のテーブルが一つと椅子が二つ 椅子には女と青年が座っている 青年の後ろには男が 女の後ろにはスーツ姿の男が二人立っている 「確認の意味で言いますが、そちらのチップは三十枚、こちらは百七十枚。残りのゲームは二十ゲーム。もしチップが無くなり破産した時は…」 「分かってるって。それにその先は代打ちのオレには関係ない話」 女は後ろのスーツの男の一人に目で合図する スーツの男がトランプを取り出し、シャッフルを始める 「彼がディーラーを務めます。ご安心を。これはただのゲームですからイカサマなんかはしません」 青年が警戒しているのを察知した女がにこやかに笑う
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