道化

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「ゲームで二百万も賭けられるのが凄いよ。これ一枚が一万ねぇ…」 青年はチップを一枚取り上げてまじまじと見つめる 男は女に借金をしていた その額は五十万 そして女はゲームを持ちかけた 「借金を帳消しにするどころか、うまくやれば利益が出る」と 男はもちろんそれに応じた チップ一枚一万円 当然、男は金を持っていないため、このゲームに参加するためにさらに借金をした その額、五十万 つまり男はこのゲームでチップを百枚獲得しなければならなかった 男の現時点でのチップは三十枚 計七十万の借金を背負ってしまった 青年はそれを聞いたにも関わらず、物怖じせずにここに来た 「ところでお姉さん、プロの方?」 青年は五枚のトランプを渡され、それを広げた 「いいえ。趣味でやってるだけ。でも強いわよ?見たところ若いけど…君は大丈夫なの?」 女もまたトランプを広げている 「あー、運があまりないんでちょっと自信ないですね」 女は笑った 「ふふ…運ね…それで勝てる甘いゲームじゃないのよ。このポーカーっていうのはね。駆け引きが重要なの」 女はチップを三枚、場に出した 「あれ?最低額って一枚じゃないんですか?」 「配られた手がいいから上乗せ、レイズってやつよ」 青年はやや考えた様子を見せた
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