166人が本棚に入れています
本棚に追加
「ゲームで二百万も賭けられるのが凄いよ。これ一枚が一万ねぇ…」
青年はチップを一枚取り上げてまじまじと見つめる
男は女に借金をしていた
その額は五十万
そして女はゲームを持ちかけた
「借金を帳消しにするどころか、うまくやれば利益が出る」と
男はもちろんそれに応じた
チップ一枚一万円
当然、男は金を持っていないため、このゲームに参加するためにさらに借金をした
その額、五十万
つまり男はこのゲームでチップを百枚獲得しなければならなかった
男の現時点でのチップは三十枚
計七十万の借金を背負ってしまった
青年はそれを聞いたにも関わらず、物怖じせずにここに来た
「ところでお姉さん、プロの方?」
青年は五枚のトランプを渡され、それを広げた
「いいえ。趣味でやってるだけ。でも強いわよ?見たところ若いけど…君は大丈夫なの?」
女もまたトランプを広げている
「あー、運があまりないんでちょっと自信ないですね」
女は笑った
「ふふ…運ね…それで勝てる甘いゲームじゃないのよ。このポーカーっていうのはね。駆け引きが重要なの」
女はチップを三枚、場に出した
「あれ?最低額って一枚じゃないんですか?」
「配られた手がいいから上乗せ、レイズってやつよ」
青年はやや考えた様子を見せた
最初のコメントを投稿しよう!