道化

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「じゃ降ります。フォルドでしたっけ?」 「フォルドの際にはそのディール、つまりその勝負の回に賭けたチップは相手に払うのよ。毎回降りられたんじゃ勝負にならないから、こういう場合は一枚相手に払うことになってるの」 「わざわざ長い説明をありがとう。分かっていますよ」 青年はチップを一枚差し出す 二人のカードを回収し、ディーラーがカードを混ぜる 「ところでお姉さんの手はどうだったんですか?」 「企業秘密ってことで」 ディーラーはカードを配る 「今度は貴方が賭ける番ね」 「えっと…降ります」 女は唖然とした 「みすみす一枚を渡すっていうの?」 「だって手が悪いんですもん」 そして女は勝利を確信した この青年は勝負の仕方を間違っている ポーカーは一度だけ、手を変えることが出来る つまりそれ次第で化ける可能性がある もし、手があまりに悪いとしてもレイズされてから降りればいいだけ 一枚を捨てるか、一枚で勝負するかでは全く違う さらに次の勝負でそれは明確になる 「私はこのまま一枚で…」 「んー…フォルド」 この青年は勝負を恐れている 自分にデメリットはないものの、平然としていられるはずがない 自分のせいでさらなる借金を背負わせてしまうプレッシャーから勝負が出来ないでいる それは男にも感じられた
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