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刹羅が先を行く。
興味無さ気に、気怠そうな顔をしながらも刹羅の後ろに付いて歩く零。
零と、刹羅の様子を伺いながら、紫煙を燻らせる俺。周りから見たら、さぞ面妖な三人なんだろうな、と思考を無駄に展開しながら、肺まで煙を吸い込んだ瞬間、グラリと視界が歪んだ。思わず壁に手を付く。
駄目だ。膝に力が入らない。
「…夜。」
「……、え…?夜騎士!?」
ガシャッ、と音を立てながら床に装飾具やらが当たる。崩れる様に座り込んでしまった。
耳鳴りが止まない。
零と刹羅、其々特有の呼び方で名前を呼ばれた…気がする。上手く立てない。
「だ…い…丈夫……」
バックパックから狼血抑制剤を取り出そうとするも、指先の感覚が麻痺していて上手くいかない。
そもそもこの感覚は血の騒ぎじゃないな。
畜生。もどかしい。
視界が霞む中、殺戮の美姫が眉をしかめながら俺を見つめる。何故こいつはこんなに美しいんだ?
と、浮遊感。
「キトを呼べ。」
大体俺と同じ身長である筈の零の声が、僅かに上から聞こえ、同時に吐息が鼻先を霞めるのを感じ、抱き上げられたのだと把握した。
と同時に、意識が薄らぐ
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