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その男達は、各々が手に武器を持ち《ペンタグラム》湖畔の洞窟へ向かって居た。
その数およそ30名、皆バラバラな鎧に右手には剣、左手には盾といった装備だったが、一人だけ、黒衣のローブを纏った男がいた。
黒衣のローブ…それはソーサラー(攻撃系魔法を使える者)である証のようなもので、魔法学校出身者に与えられるものである。
その黒衣のローブの男が先頭を歩く体躯のガッシリとした、この集団のリーダーであろう男に近づき…
「バーカスさん…本当にドラゴンと戦うんですか? やっぱり辞めません?」
フードで顔はよく見えないが、声からしてまだ若い青年のソーサラーは最後の説得とばかりに言った。
声をかけられたバーカスは不精髭をボリボリ掻き、もう何度も説得して来るソーサラーをウザそうに一蔑し…
「クリス…オメェ…いくら俺に借金してると思ってるんだ? そんなにドラゴンが恐いんか? 今すぐ借金返す事出来んなら、帰っていいけど、出来んだろ? なら、黙って手伝え」
そう言ってバーカスは右手に持っていた剣をクリスの喉元につきつけた。
「借金って言っても、友人の保証人ってだけで、私がしたものではないし…第一借りた金額が一ヶ月で4倍っておかしいじゃないですか…😖 それよりも、この国を守護している聖獣の青竜を狩ったら、この国の人達に恨まれちゃいますよ💧」
クリスは、その剣に臆する事なく意見を言った。
バーカス以外は普通のバスターソードだったので、クリスの魔法で剣を強化しない限りただの烏合の衆でしかなかった。
クリスは欠かす事の出来ない存在だったので多少強気に意見が言えたのだ。
「ガタカタうるせー💢こっちには、ちゃんとした手形だってあるんだから、出るとこ出たっていいんだゼ💢 それに…この国がどうのこうのなんて俺には関係ねーし、俺はドラゴンを倒したって名声と金さえ入りゃいーんだよ💢」
バーカスは殺気をおびた目でクリスを睨み、剣を握った手が怒りで震えていた。
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